、やはり正しい方向に向かって歩いていることを知った。とうとうわたしたちはテンプル・バーに着いた。それから二、三歩行けばリンカーン・スクエアへ着くのであった。
いよいよグレッス・アンド・ガリー事務所《じむしょ》の戸口に立ったとき、わたしはずいぶんはげしく心臓《しんぞう》が鼓動《こどう》した。それでしばらくマチアに気の静《しず》まるまで待ってもらわねばならなかった。マチアが書記にわたしの名前と用事を述《の》べた。
わたしたちはすぐとこの事務所の主人であるグレッス氏《し》の私室《ししつ》へ通された。幸いにこの紳士《しんし》はフランス語を話すので、わたしは自身かれと語ることができた。かれはわたしに向かってこれまでの細かいことをいちいちたずねた。わたしの答えはまさしくわたしがかれのたずねる少年であることを確《たし》かめさせたので、かれはわたしに、ロンドンに住んでいるわたしの一家のあること、そしてさっそくそこへわたしを送りつけてやるということを話した。
「ぼくにはお父さんがあるんですか」とわたしは、やっと「お父さん」ということばを口に出した。
「ええ、お父さんばかりではなく、お母さんも、男のご
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