ローニュまで道みち主《おも》な町で足を止めて、八日がかりでやっとボローニュに着いたとき、ふところには三十二フランあった。わたしたちはそのあくる日ロンドンへ行く貨物船《かもつせん》に乗った。
 なんというひどい航海《こうかい》であったろう、かわいそうに、マチアはもう二度と海へは出ないと言い切った。やっとのことで、テムズ川を船が上って行ったとき、わたしはかれにたのむようにして、起き上がって外のふしぎな景色《けしき》を見てくれといった。けれどもかれは、今後も後生《ごしょう》だから一人うっちゃっておいてくれとたのんだ。
 とうとう機関《きかん》が運転を止めて、いかりづなはおかに投げられた。そしてわたしたちはロンドンに上陸《じょうりく》した。
 わたしはイギリス語をごくわずかしか知らなかったが、マチアはガッソーの曲馬団《きょくばだん》でいっしょに働《はたら》いていたイギリス人から、たんとことばを教わっていた。
 上陸するとすぐ巡査《じゅんさ》に向かって、リンカーン・スクエアへ行く道を聞いた。それはなかなか遠いらしかった。たびたびわたしたちは道に迷《まよ》ったと思った。けれどももう一度たずねてみて
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