が行ったか、話してあげよう」とかの女は意味ありげにわたしの顔をながめて言った。
「まあ先にどら焼《や》きを食べようよ」とわたしは言った。「あの人のことは言わないことにしよう。ぼくはあの人が四十フランでぼくを売ったことを忘《わす》れない。あの人がこわいんで、あの人がまたぼくを売るのがこわいんで、ぼくはここへ様子を知らせることをがまんしていたのだ」
「ああ、きっとそれはそうだと思うよ」とかの女は言った。「でもバルブレンさんのことを悪くお言いでないよ」
「まあ、どら焼《や》きを食べようよ」とわたしはかの女にぶら下がりながら言った。
わたしたちはみんなでさっそく材料《ざいりょう》をこなし始めた。そしてまもなく、マチアとわたしはどら焼きに舌《した》つづみをを打った。マチアはこんなうまいものを食べたことはないと言った。わたしたちが一さらを平《たい》らげると、すぐにつぎのさらにかかった。カピもおすそわけにあずかりに来た。バルブレンのおっかあは、犬にどら焼きをやるなんてもったいないと言ったが、わたしたちはカピが一座《いちざ》の主《おも》な役者で、そのうえ天才であることを説明《せつめい》して、なんによ
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