うし》の乳をしぼったら、ぼくたちも晩《ばん》にすこしいただけないでしょうか」とかれはたずねた。
「それはいいとも」
わたしたち二人だけになると、わたしはマチアに、ほとんど自分たちが拘留《こうりゅう》されていることを忘《わす》れさせるほどのえらい報告《ほうこく》をした。
「バルブレンのおっかあは生きているし、バルブレンはパリへ行っている」とわたしは言った。
「ああ、では『王子さまの雌牛《めうし》』もいばって乗りこめるわけだね」
かれはうれしがっておどりをおどったり、歌を歌いだした。かれの元気につりこまれて、わたしはかれの手をつかまえた。カピはそのときまですみっこに静《しず》かに考えこんで転《ころ》がっていたが、はね上がって後足で立ちながら、わたしたちの間に割《わ》りこんで来た。それからは三人いっしょになってめちゃくちゃにおどり回ったので、典獄《てんごく》なにが始まったかと思って、とびこんで来た。たぶんねぎが気になったのであろう。かれはわたしたちにやめろと言ったが、さっきまでの様子とはだいぶ変《か》わっていた。その様子でわたしはもうたいしたことはないとさとった。そのうえもう一つの証拠《
前へ
次へ
全326ページ中184ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
マロ エクトール・アンリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング