らん》のかざりが日にかがやいているのをわたしは見た。これはぼうさんたちで、鉱山《こうざん》の口へ来て、わたしたちの救助《きゅうじょ》のためにおいのりをしてくれたのであった。わたしたちが運び出されると、かれらは砂《すな》の中にひざまでうずめてすわっていた。
 二十本のうでがわたしを受け取ろうとしてさし延《の》べられた。けれど技師《ぎし》はわたしを放さなかった。かれはわたしを事務所《じむしょ》へ連《つ》れて行った。そこにはわたしたちをむかえる寝台《ねだい》ができていた。
 二日ののち、わたしはマチアと、アルキシーと、カピを連《つ》れて、村の往来《おうらい》を歩いていた。そばへ来て、目になみだをうかべながら、わたしの手をにぎる者もあった。顔をそむけて行く者もあった。そういう人たちは喪服《もふく》をつけていた。かれらはこの親もない家もない子が救《すく》われたのに、なぜかれらの父親やむすこが、まだ鉱山《こうざん》の中でいたましい死がいになって、暗い水の中をただよっているのであろうか、それを悲しく思っていたのであろう。


     音楽の先生

 坑《こう》の中にいるあいだに、わたしはお友だちが
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