《やさい》をいっしょにした味がするのであった。わたしはそっとこの野菜をじょうずに作って、おっかあをおどろかそうと思っていた。ただの花だと思わせておいて、そっと実のなったところを引きぬいて、ないしょで料理《りょうり》をして、いつも同じようなじゃがいもにあきあきしているおっかあに食べさせて、『まあルミ、おまえはなんて器用《きよう》な子だろう』と感心させてやろう。
こんなことを思い思いこのときも、まだ芽《め》が出ないかと思って、種《たね》のまいてある地べたに鼻をくっつけて調べていた。ふと気がつくとバルブレンがかんしゃく声で呼《よ》びたてているので、びっくりしてうちへはいった。まあどうだろう。おどろいたことには、炉《ろ》の前にヴィタリス老人《ろうじん》と犬たちが立っているではないか。
すぐとわたしはバルブレンがわたしをどうするつもりだということがわかった。老人がやはりわたしを連《つ》れて行くのだ。それをおっかあがじゃましないように村へ出してやったのだ。
もうバルブレンになにを言ってみてもむだだということがわかっているから、わたしはすぐと老人《ろうじん》のほうへかけ寄《よ》った。
「ああ、
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