っておれの人が変わったかしれないが、そこはおれを半殺《はんごろ》しにもした。おれはもう働《はたら》くことはできない。もう金はない。牛は売ってしまった。おれたちの口をぬらすことさえおぼつかないのに、おたがいの子でもないがきを養《やしな》うことができるか」
「あの子はわたしの子だよ」
「あいつはおれの子でもないが、きさまの子でもないぞ。それにぜんたい百姓《ひゃくしょう》の子どもじゃあない。びんぼう人の子どもじゃあない。きゃしゃ[#「きゃしゃ」に傍点]すぎて物もろくに食えないし、手足もあれじゃあ働《はたら》けない」
「あの子は村でいちばん器量《きりょう》よしの子どもだよ」
「器量がよくないとは言いやしない。だがじょうぶな子ではないと言うのだ。あんなひょろひょろした肩《かた》をしたこぞうが労働者《ろうどうしゃ》になれると思うか。ありゃあ町の子どもだ。町の子どもを置《お》く席《せき》はないのだ」
「いいえ、あの子はいい子ですよ。りこうで、物がわかって、それで優《やさ》しいのだから、あの子はわたしたちのために働《はたら》いてくれますよ」
「だが、さし当たりは、おれたちがあいつのために働いてやらなけ
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