は駈けよって、セエラの手をとり、自分の胸におしあてました。ベッキイは欷歔《すすりな》きながら、セエラの傍《かたわら》に跪いていいました。
「お嬢様は、どんなことが起ったって、やっぱり宮様《プリンセス》よ。何が起ったって、どうしたって、宮様《プリンセス》以外のものにはなるもんですか。」

      八 屋根裏にて

 セエラはいつまでも、初めて屋根裏に寝た晩のことを忘れることは出来ませんでした。夜もすがらセエラは、子供にしては深すぎる、狂わしい悲しみにひたされていました。が、セエラはそのことを誰にも話しませんでした。また話したとて、誰にも解る悲しみではなかったでしょう。セエラは、寝られぬ夜の闇の中で、ともすると、寝慣れぬ堅い寝床や、見慣れぬあたりのものに心を煩《わずら》わされました。が、それはかえって彼女の気をまぎらしてくれたようなものでした。そんなまぎれがなかったら、セエラは悲しみのあまりどうなったかわからなかったでしょう。
「パパは、おなくなりになったのだ。パパは、おなくなりになったのだ。」
 寝床に入ってしばらくの間は、そのことばかり考えていました。寝床が堅いと気のついたのは、寝
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