ど使いふるした椅子、テエブル。明りとりの天窓《ひきまど》には、物憂い灰色の空がのぞいているばかりです。その下に、こわれた紅い足台があるのを見つけて、セエラはそこに腰を下しました。セエラは膝の上にエミリイを寝かし、両手で抱きながら、エミリイの上に自分の顔を伏せて、しばらくじっと坐っていました。
 ひかえめに戸を叩く音がして、戸の間に泣き濡れたベッキイの顔が現れました。ベッキイは、さっきから泣きづめに泣きながら、前掛であまり眼をこすったものですから、すっかり顔が変っていました。
「お、お、お嬢様、ちょっと、あの、ちょっと入っちゃアいけませんか。」
 セエラは、ベッキイに笑ってみせようとしましたが、どうしても笑うことが出来ませんでした。が、ベッキイが心から悲しんでいるのを見ると、セエラは急に子供らしい顔になり、手をさしのべて、しくしく泣き出しました。
「ベッキイちゃん、いつか私あなたに、私達は同じような娘同士だといったことがあるでしょう。ね、嘘じゃアなかったでしょう? 二人の間には、もう身分の違いなんてないんですもの。私は、宮様《プリンセス》でもなんでもなくなってしまったのよ。」
 ベッキイ
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