うちょっとの間、ここにいてもいいでございましょう?」
「ベッキイなんかを、どうしてここに置くのです。」
「でも、あの娘だって贈物を見たいでしょうから。あの娘だって、私達と同じ小さい女の子なのですもの。」
「まア、セエラさん、ベッキイは下女ですよ。下女なんて――あなた方のようなお嬢さんとは身分が違います。」
ミンチン女史は、今までに一度も、ベッキイをセエラ達と比べて考えてみた事はありませんでした。女史の考えに従えば、小使娘などというものは、石炭を運んだり、火をおこしたりする機械でしかなかったのでした。
「でも私、ベッキイだって、私と同じ女の子だと思います。今日は私のお誕生日ですから、私のお願いをかなえて、あの娘をよろこばしてやって下さいませんか。」
「じゃア、今日は特別に許してあげましょう。レベカ、お前セエラさんにお礼を仰しゃい。」
この話の間、ベッキイは、部屋の片隅にしりごみしながら、前掛の縁《へり》をいじくっていましたが、ミンチン女史にそういわれますと、ひょこひょこ出てきてお辞儀をしました。彼女は思うようにお礼の言葉もいえませんのでした。
「ほんとに、どうも、お嬢様。もううれしく
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