たのでした。セエラがぎょうぎょうしく教室に入って行くと、上級の少女達は肱をつきあいました。小さい少女達はただ嬉しそうにざわざわいいはじめました。それを見ると、セエラは何となく気はずかしくなるのでした。ミンチン先生は
「皆さん、静かになさい。」と一応注意してから、僕達《しもべたち》に向って、
「ジェームス、その箱をテエブルの上に置いて、蓋をお開けなさい。エムマ、お前のは椅子の上にお置きなさい。それから、ベッキイ!」と急にきびしい口調でいいました。ベッキイはちょうどロッティと眼を見合せながら、にやにやしているところでしたので、ミンチン先生の尖った声を聞くと、びっくりして一種滑稽なお辞儀をしました。それを見ると、ラヴィニアやジェッシイはくすくす笑い出しました。
「傍見《わきみ》なんかしてちゃアいけません。その箱を下に置くんですよ。それがすんだら、お前達は向うへ行くんですよ。」
 僕と女中が退いてしまうと、ベッキイは思わずテエブルの上の箱の方へ首を伸しました。青繻子で出来た何かが、薄い包紙の皺の間に、透いて見えました。
「あの、ミンチン先生。」とセエラは突然いいました。「ベッキイさんだけは、も
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