と、幾十日目かで思わず笑い出しました。
「あの子は一年ごとに面白くなってくる。神様、どうかこの仕事がひとりでに片付いて、私が自由にあの子の所へ飛んで行けるようにして下さい。たった今、あの子の腕が私の首にまきついてくるとしたら、そのためには何でもあげる。どんなものでもあげる。」
セエラのお誕生日は、大げさに祝われることになりました。贈物の函は、飾った教室で、皆の目の前で開けられ、その後で、ミンチン先生のお部屋で御馳走《ごちそう》があるはずでした。その日が来ると学校の中は妙にそわそわとしておりました。朝の中《うち》は皆夢中になって飾りつけをしました。
その朝、セエラが居間に入って行くと、テエブルの上に、褐色の紙に包んだ、小さなふくれ上ったものが置いてありました。誰から贈られたのだか、セエラにはたいていわかっていました。そっとといてみると、中は針さしでした。あまり美しくもない赤フランネルに、黒いピンが『お目出度《めでと》う』という字の形に並んでささっていました。
「一生懸命こしらえてくれたのだわ。あんまりうれしくて、何だか悲しいような気がするわ。」
が、針さしの下に着けてある名刺を読ん
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