ロッティはその約束は思い出しましたが、それでも泣声をあげるばかりでした。
「わたい、お母ちゃんがないイ。わたい、お母ちゃん、これんばかしも、ないイ!」
「いいえ、ありますとも。」と、セエラはにこにこしながらいいました。「もう忘れたの? セエラがあなたのママだってことを忘れたの? お母ちゃんのセエラは、もう要らないの?」
 ロッティはやっと少し笑顔になって、セエラに縋りつきました。
「さ、一緒に窓の所に坐りましょう。そして、小さい声であなただけにお話してあげましょう。」
「ほんとにしてくれる? あの、ダイヤモンドのお山のお話、してくれる?」
 それを聞くと、ラヴィニアは、
「ダイヤモンドの山ですとさ。」と口を出しました。「私、あの意地悪の駄々っ子を、打ってやりたいわ。」
 セエラはいきなり立ち上りました。セエラとても天使《エンゼル》ではない以上、ラヴィニアまで愛すわけにはいきませんでした。
「あなたをこそ打ってあげたいわ。だけど、私あなたを打つのなんかいやだわ。打ってやりたいけど、打つのはよすわ。あなただって、私だって、もう物が解ってもいい年頃なんですものね。」
 ラヴィニアは、え
前へ 次へ
全250ページ中62ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
バーネット フランシス・ホジソン・エリザ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング