なっているような気がするの、何だか変ね。」
セエラがミンチン先生の塾に入ってから、二年目の冬でした。ある薄霧の日の午後、セエラが厚い天鵞絨や毛皮にくるまって馬車から降りると、みすぼらしい小娘が、地下室の入口に立っていました。少女は首を長くして、一生懸命にセエラを見ていました。セエラはおどおどしている少女にふと目を惹かれました。眼が合うとセエラはいつものように、にっこり笑いました。
が少女の方は、有名なセエラを竊《ぬす》み見たりしたら、きっと叱られるとでも思ったらしく、まるでびっくり函《ばこ》の中の人形のように、ひょこりと台所の中へ隠れてしまいました。ふいにひょこりと消えてなくなったので、セエラは危《あぶな》く笑い出すところでした。が、その少女はあまりみすぼらしく、あまり寂しそうなので、笑うことも出来ませんでした。その晩のことでした。セエラが教室でいつものお話をしているところへ、その少女は重そうな石炭函を持って、こそこそと入って来ました。少女は炉の前に跪き、火をおこしたり、灰をかき取ったりしていました。
少女はさっきよりはきちんとしていましたが、相変らずおどおどしていました。話を聞
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