ラが話すと、どんなくだらない事でも、立派なお話になってしまうのでした。ラヴィニアなどはセエラのその力を大変羨ましがっていましたが、多少の反感を持って近づいて行っても、セエラの話の巧《うま》さには、つい酔わされてしまうのでした。
あなた方も学校で、皆が夢中になって、話の巧い人を取りかこむ所を見たことがあるでしょう。セエラはお話が巧いばかりでなく、彼女自身お話をするのが大好きでした。皆にとりまかれて自分でつくったお話をする時、セエラの緑色の眼は輝き、頬は紅をさすのでした。彼女は話しているうちに知らず識らず物語にふさわしい声色や身振を始めるのが常でした。セエラは少女達が耳を澄ましていることなど、いつの間かに忘れてしまいました。セエラの眼に見えるのは、お話の中の妖精達や、王様、女王様、美しい貴婦人達などなのでした。語り終った時、セエラは興奮のあまり息を切らしてしまうこともありました。そんな時、セエラはどきどきする胸に手を当て、自分を嘲笑うかのようにこういうのでした。
「私、お話をしていると、あなた方や、この教室よりも、話していることの方が、ずっとほんとらしく思えてくるのよ。私はお話の中の人に
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