。ふと行きあったりすると、セエラは傍《わき》を向いてしまいますし、アアミンガアドはアアミンガアドで、妙にかたくなってしまって、言葉をかけることも出来ませんでした。時には、首だけ下げて挨拶《あいさつ》することもありましたが、時とすると、また目礼さえせずに過ぎることもありました。
「あの子が、私と口をききたくないのなら、私はあの子になるべく会わないようにしよう。ミンチン先生は会わせまいとしているんだから、避けるのは造作ないわけだわ。」
で、自然二人はほとんど顔も会わさないようになりました。アアミンガアドは、ますます勉強が出来なくなりました。彼女はいつも悲しそうで、そのくせそわそわしていました。彼女はいつも窓のそばに蹲まり、黙って外を見ていました。ある時、そこへ通りかかったジェッシイは、立ち止って、怪訝そうに訊ねました。
「アアミンガアドさん、何で泣いてるの?」
「泣いてなんて、いやしないわ。」
「泣いてるわよ。大粒の涙が、そら、鼻柱《はなばしら》をつたって、鼻の先から落ちたじゃアないの。そら、また。」
「そう。私なさけないの――でも、かまって下さらない方がいいのよ。」
アアミンガアドは
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