、心の中では『どうぞ』だの、『もったいない』だの、『御免なさい』だのといってるつもりだけど、口に出すと暇がかかるからね。」
 しかし、ベッキイは、夜の明ける前に、きっとセエラの部屋にこっそりと入ってきて、ボタンをはめたり、その他いろいろ手伝ってくれるのでした。夜がくると、ベッキイはまたそっと戸を叩いて、何かセエラの用をしに来てくれるのでした。
 三人のうちの第二は、アアミンガアドでした。アアミンガアドがセエラを慰めに来るまでには、いろいろ思いがけないいきさつがありました。
 セエラの心が、やっと少し新しい生活になじんで来ると、セエラはしばらくアアミンガアドのことを忘れていたのに気づきました。二人はいつも仲よくしていましたが、セエラは自分の方がずっと年上のような気持でいました。アアミンガアドは人なつっこい子でしたが、同時にまた頭の鈍いことも争われませんでした。彼女は、ただひたむきにセエラに縋りついていました。おさらいをしてもらったり、お話をせがんだり――が、アアミンガアド自身には、別に話すこともないという風でした。つまり彼女は、どんな事があっても忘れられない、という質《たち》の友達ではあ
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