お顔色がよくおなりですこと――それに、あの、以前よりはずっとお丈夫そうに、そして、お立派に――」
「おかげさまで丈夫よ。それに――以前よりはずっと幸福《しあわせ》になったのよ。――で、私、あなたにお願いがあって来たの。」
「私に、お願いですって?」と、おかみさんはうれしそうに笑いました。「まアお嬢様、それはそれは、どんな御用でございますの?」
そこで、セエラは帳場によりかかって、お天気の悪い日、ひもじそうな宿無《やどなし》の子を見たら、パンを恵んでやってくれと、頼みました。
おかみさんは話の間、セエラをじっと見つめて、びっくりしたような顔をしていました。が、聞き終るとまた、
「まア、それはそれは。」といいました。「私に施しをさせて下さるなんて、うれしゅうございますわ。御覧の通り、私はほんのもうその日暮しで、自分の力ではとても大したことは出来ないんでございますの。気の毒な人はそこら中におりますのにね。でも、失礼か存じませんが、ちょっとお耳に入れておきたいことがございますの。あの日以来、雨の日には、あなた様のことを思い起して、少しずつパンを恵んでやることにしているのでございますよ。――あの日は、ほんとに寒くて、ひもじそうでいらっしゃいましたわね。それなのに、あなた様は、まるでプリンセスかなにかのように、惜しげもなく甘パンを施しておしまいになりましたのね。」
プリンセスと聞くと、印度の紳士は思わず微笑しました。セエラも、あの子のぼろぼろな膝にパンを置きながら、心の中でつぶやいたことを思い起して、ちょっと微笑しました。
「あの娘は、ひもじそうだったわ。」と、セエラはいいました。「私よりもひもじそうだったわね。」
「もう死にそうにお腹がすいていたのでございますよ。あの子は、あれからよく私に、あの時のことを話してくれましたが――ぐしょぐしょになって坐っていると、可哀そうに、自分のお腹の中で、狼がはらわたを食い裂いているような気がしましたって。」
「あら、それじゃアあなた、あれから、あの子に会ったの? 今どこにいるか、御存じ?」
「存じておりますとも。」おかみさんは、いつよりもよけい人のよさそうな顔をして笑いました。「そらあそこに、ね、お嬢様、あの奥の部屋に、もう一月もいるんでございますよ。それに、あの子は、なかなかきちんとした、いい性質の子になりそうでございますよ。思いの
前へ
次へ
全125ページ中123ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
バーネット フランシス・ホジソン・エリザ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング