、来て御覧なさい。」
 ベッキイは、驚きのあまり口を利くことも出来ず、黙ってセエラに従いました。ベッキイはセエラの部屋に入ると、眼が廻りそうでした。
「みんなほんとなのよ。私、触って見たのよ。きっと私達の眠っている間《ま》に、魔法使が来たのね。」

      十六 お客様

 それから、その晩二人はどうしたか、出来るなら想像して御覧なさい。
 二人は火のそばに蹲って、料理皿にかけた布《きれ》をとって見ました。お皿の中には、二人で食べても食べきれないほどのおいしいスウプや、サンドウィッチや、丸麭麺《マッフィン》などが入れてありました。ベッキイのお茶碗はないので、洗面台のうがい茶碗を使うことにしました。そのお茶のおいしさといったらありませんでした。これが、お茶でない何かほかのもののつもり[#「つもり」に傍点]になどはなれないくらいでした。二人は餓《うえ》も寒さも忘れ、すっかり楽しい気持になりました。
「一体、誰がこんなにして下すったんでしょう? 誰かいるのにはちがいないわ。私を想ってて下さる方があるのだわ。ねエ、ベッキイ、その誰かは、きっと私のお友達なのよ。」
「あの――」と、ベッキイは一度口ごもってからいいました。「あの、お嬢さん、これみんな、融《と》けてってしまうんじゃアない? 早く片付けてしまった方がよくはない?」ベッキイは急いでサンドウィッチをほおばりました。
「大丈夫よ。私もさっき夢じゃアないかと思って、その火に触ってみたのよ。」
 おなかが一杯になると、セエラは、一人ではかけきれないほどある毛布を、ベッキイに分けてやりました。ベッキイは帰りしなに振り返って、貪るように室内を見廻しました。
「お嬢さま、これが皆朝になって消えちまっても、とにかく今夜だけはちゃんとあったんだから、私決して忘れないわ。」ベッキイは忘れまいとして、もう一度煖炉や、ラムプや、寝台や、床《とこ》を眺めまわしました。それから、ちょっと自分のお腹の上に手をおいて、
「こん中には、スウプに、サンドウィッチに、丸麭麺《マッフィン》が入って行ったんだわ。」と、それだけは確かそうにいいました。
 朝になると、生徒も、召使も、いつの間にか昨夜《ゆうべ》の騒ぎを知っていました。皆は、セエラがどんな顔をして出て来るだろうと、待ちかまえていました。
 セエラは皆の眼を避けて、真直《まっすぐ》に流し場へ行き
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