リエス患者のコルセットを造るため、セルロイドを取り扱う事に習熟したので、その後もあるセルロイド工場へ入って生活費を得ていたのである。
 そして、他を罰してやるためには、自分を出来る丈正しく保たねばならないと云う考えで、自分を鞭打った。けれども之が私に取って無効なる痛みに過ぎなかったのは、何と云う悲しさであったろう。
 正直に云って了う。一つの憤怒を抱いた人間は、却ってその憤怒のために堕落しやすいものである。ああ、私は何れ程心の平静を望んだ事であろう。此の憤怒! この動乱がいけないんだ、と叫んでは、自分の爪で自分の胸を掻きむしった。之は何と云う矛盾した心理であろうか。憤怒があればこそ罰を謀《たくら》むのであり、罰を謀むから、正しい心を欲するのであるのに、正しい心を持つには、憤激それ自身が邪魔となるのである。
「えい! 何たる苦しみの鼬ごっこだ!」何度操返しても、それは実に同じであった。
 然し私は心を取り直した。(少くともそう思われる。)[#「(」「)」は、「(」「)」が二つ重なったもの]同じ工場に通う老いた職工が火傷のために休職し、喰うにも困っているのを聞くと、私は深甚な同情のようなも
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