ます。私は眼がつぶれたように悲しくなり、そこいらが真暗になって了う程、耻辱を感じました。なんぼ朝鮮人だって、心と云うものは持っています。何方を見ても真暗で、自分の本統の心持や、正直な考えを聴いて呉れる人がないのを知る時、人は無人島へ行ったよりつらくなって了います。無人島に着いた男は王者のように自由です。けれども此処では……闇にとりまかれた盲目で跛の奴隷が見出される丈です。信頼していた警官たちまで、こんなに私を憎み、私を疑い、卑怯な片手落ちをして少しも自ら耻じないんです。此の上は自分の憤りの治る迄人を殺し、自分も地獄へ堕ちて、新らしい世界に住もうと云う心が起きずにはいられないではありませんか。おおそれが何故無理なんです。いいえ、私はもう決心しました。私は刀を磨ぎ初めました。すると隣りの親切な老人が、『高さんは遠い所から来ていて淋しいんだもの。何事も公平にし、喧嘩の元を引き起さないように……』と兄の妻へ話しているのが聞えました。ああその時、私は何んなに刀を磨ぐのを控え、感謝の心を以て怒りを飲み込み、こらえ、しのんだでしょう。私の妻も声を立てて泣いて居りました。」
高は途切れ途切れに以上の
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