すか?」
「さあ……少くとも橙色よりわね……」
「子供の中に黒い部屋で育ちますと、その黒がしん迄沁み込みます。けれど大人になって紫の部屋に入っても、黒の上へ紫はそまらないでしょう。」と私は沈んで答えた。
「しかし、まあ、入って見なさい。何か効果があるかも知れないから……」
以上の会話はまるで虚言のように態とらしく見えるかも知れない。けれど全部事実であり、院長の呑気に近い優雅を證拠立てる好い材料の一つであろう。人々は如何に思うか。世間の学者達は熱心に悪人を矯正しようとして考え、骨を折っている。然も紫色の室以上のものを設計し得ないのは大きな悲しみではなかろうか。
私は何時も思っている。「幼いものをつまずかすのは、老人の足を切り取るよりも、もっと悪い事だ。」と。紫色の室が役に立つのは、其処へ入るものの頭蓋骨が未だ小さく柔軟な場合である。
私は紫色の室内に眠って深い悲しみに閉された。私はもう駄目である。此の静寂が身に沁みて痛い。私はしまいに耐え切れなくなって、理由もなく増大する涙の粒を落した。
夜の戯れ
多くの病気に向って、紫色が好い影響を働く事を、英国のスノーデン博士が考え
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