。唯、あの子のむくんだ醜い姿、それから、その子と遊ぶ腫物で毛の抜けた盲ら犬の姿、そんなものが、毒のように私の体に泌み込んで離れないんですわ。私は伝染して了ったのです。其れ等のものへ同情しているんでなくて、もう一緒に捲き込まれて了っているんですわ。それにねえ、懺悔しにくい事ですけれど、あの畸形児の父に当る人が、……」此処で女性は又言葉を切り、体をよろめかして、私の肩に頬を当てた。
 私はその話の先を続けるようにとは促さなかった――何故なら、彼の女は恐らくもう処女ではないと云う直覚が悲しくも私の脳裡を掠めたからである。私は心を変えて斯う劬った。
 「私は貴方をもう一度小鳥の間に住まわせて上げたく思います。貴方さえよかったら、お父さんと相談して上げてもかまいません。」
「……畸形の子の父親は……小刀を持ってます。そして、あの若い商人の方……は私の落ち度を堅く握っていらっしゃるんですわ。」女性は私の言葉とは掛け離れたある恐ろしい妄想に耽けっているらしく、眼を上釣らせて、黒い上空の一点を見つめた。

   他人の楽しみ

 幾月かが風や雨と一緒に過ぎた。そして風や雨は、私(セルロイド職工)[#「
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