て三度目に、未だ手馴れぬため、あのセルロイドの櫛を取り損って了ったのです。お許し下さい。お許し下さい。私には皆分るのです。柔しく色々と教えて頂いて、又知慧の光が私には見えそめて来ました。私は悪い女で御座います。私の悔いは本統に強く湧き起って居ります。ああ、嵐の中の若木のように、私の心で、そして体で、こんなに悶えているので御座います。あの若い商人の方が許して下さると仰言るので、私は余計につらく、身がいたくてなりません。」
 哀れにも虐待された処女は斯う物語って涙を拭いた。
 小鳥を哀撫することで、薄倖の中にも、或る静かな慰安を感じ、それによって、強い僻みから逃れて来た美しい霊が、急に陰惨で極悪な境へ迷い込み、四囲に漂う闇黒のために霊の表面を汚染されるというのは何と痛む可き事実であろう。然し、幸いな事に、汚染されたのはホンの表面丈に過ぎないと云う新らしい発見が私(教員)[#「(」「)」は、「(」「)」が二つ重なったもの]を何よりも強く勇気づけた。私はよく考えたのちに、処女へ向って慰安になるような次の言葉を与えたのである。
「余り心配なさいますな。心は労れ過ぎると又分別を取逃すおそれがありま
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