迄息がつまって、身動きも出来ぬようでした。之は何と云う物凄い殺気だった静粛でしょう。敗けてシクシクと泣く細い声なぞが聞える頃、彼等は一人ずつ、二十分丈時間を置いては帰って行って了うのです。一人残った父へ私は縋りつきました。『何うか、それ丈はやめて下さい。』私は涙を飲んで愬えました。賭博が悪いものだと云うハッキリした思想からではなく、あの二十分間ごとに一人ずつ帰って行く人たちの淋しく絶望した、殺気だった顔が怖くて仕方がなかったからです。何か復讐のようなものが起りはしないか? 私はそれを何より心配致しました。父は此の道の名人で、一回損をすると、四回は得をしました。そして、一回丈する損も、何だが態々やる計略らしかったのです。
 父は何故かその時大変に不快な顔をして居りましたが、いきなり、私を蹴倒して、肩へ痣をこさえる程強く、室の隅へ打ちつけました。
 私は処女の身体と云うものを大変大切にする質だったので、恐ろしい悲愁の中にも、実に明かな激怒を感じたので御座います。
『覚えてお出でなさい!』と私は倒れた儘で申しました。
 三日目の晩、父の元へは又しても不快な男たちが猫脊をして集まって来ました。
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