きによりてのみ知られるに過ぎない。
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問『善と悪との戦、その他につきて教を受けたい。』
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非命の死と罪悪[#「非命の死と罪悪」に白丸傍点]――地の世界には、週期的に争闘が起るものであるが、霊的眼光を以《もっ》てこれを考察すれば、畢竟《ひっきょう》それは善悪の霊と霊との争闘である。すべて世の乱れるのは、未発達なる霊魂の数が不釣合に多くなった時で、従って大きな戦争の直後は、人心の悪化が、特に目立ちて強烈である。他なし、多くの霊魂が無理に肉体から引き離されて帰幽するからで、つまり資格のない未熟の霊魂が、幽界に充満する訳なのである。しかもそれ等の霊魂は、死の瞬間に於《おい》て忿怒《ふんぬ》に充ち、残忍性に充ち、まるで悪鬼《あっき》夜叉《やしゃ》の状態に置かれて居る。そんなのが、死後の世界から人間世界に働きかけて、いつまでも禍乱《からん》の種子を蒔く。
一体霊魂が、無理矢理にその肉体から引き離され、激情と憎念とに充ちたままで、幽界生活に突入するほど危険なことはない。天寿を全うすることは、大自然の原則である。玉の緒は、決して人力
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