く向上進歩の最極限に到達した、遠い遠い無限の未来に於《おい》て、われ等が過去世の一切から離れ去り、天帝の真光に浴しつつ静かに黙想の生活に入る時が、ないではあるまいかと思う。それにつきては、われわれは何事も言えない。それは余りにも高きに過ぎる。地上の人間として、そこまで考えようとするのは、蓋《けだ》し早きに失する。地上人として関心を有するのは、無限の生命のホンの入口――死及び死後の生命の問題で、奥の院の問題ではない。
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問『あなたは地上に居た時よりも、神に就《つ》きて多くを知るか?』
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 神の働き[#「神の働き」に白丸傍点]――われ等は、地上生活中に於《お》けるよりも、遥かに多く神の働きにつきて知ることができた。死後の世界に於《おい》て、一つ一つ階段を登るにつれて、より多く神の愛、神の智慧の無量《むりょう》無辺際《むへんさい》であることが判って来たのである。が、われ等の神につきての知識は、それ以上には出《い》でない。今後に於《おい》ても、最後の黙想の生活に入るまでは依然としてこの状態にとどまるであろう。要するに、神はその働
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