、つくづく長大息を禁じ得ぬ。本人も本人だが、その存在を許す周囲の人達も人達である。日本民族が精神文化の先頭に立ちて、世界を率いる資格の備わるのは、そも何《いず》れの日であろう!
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      第五章 幽明交通と環境

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問『霊媒ホームの実験が、たまたまダアビイ競馬日に際会し、終に実験不能に終ったとの事であるが、かかるお祭騒ぎは幽明交通に有害か?』
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 悪霊の跳躍[#「悪霊の跳躍」に白丸傍点]――ダアビイ競馬日の如き場合には、人間の道徳的均衡が撹乱されているので、われ等として、地上との交通に至難を感ずる。かかる場合に、ほくそ笑むのは、低級未発達の悪霊どもである。かの投機的慾望によりて刺戟されたる無数の民衆こそは、同じ慾望に燃えている下級霊にとりて、正に誂向きの好餌である。一部の人間共は、飲酒の為めに、前後不覚の昂奮状態に陥って居る。他の一部は一攫《いっかく》万金を夢みて、熱病患者の如く狂いまわって居る。他の一部は一切の資産を失って、絶望のドン底に呻いている。斯《こ》んなのはちょっと
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