要する。時とすれば、その目的が地上生活中には達せられぬかも知れない。神は一切を試練する、そして資格のある者にのみ智慧《ちえ》を授ける。前進の前には常に準備が要る。これは不変の鉄則である。資格が備わりてからの進歩である。忍耐が大切な所以《ゆえん》である。
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問『心の迷、実証の困難、僻見《へきけん》の跋扈《ばっこ》等をいかにすべきか? 果してこれ等《ら》の故障に打勝ち得るか?』
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最後の必勝[#「最後の必勝」に白丸傍点]――人力は有限であるが、神力は無限である、故障とな! そうしたものは絶対に存在せぬ。われ等が過去に於《おい》て嘗《な》めたところに比ぶれば、現代の苦艱の如《ごと》きは抑々《よくよく》物の数でない。われ等の生活せるローマ帝政時代の末期――精神的、霊的のものは悉《ことごと》く影を潜めて、所得顔《ところえがお》に跋扈《ばっこ》するは、ただ酒色と、荒淫と、悪徳と、劣情……若《も》し汝《なんじ》にしてその実情に接触せんか、初めて闇の魔群の、いかに戦慄すべき害毒を人間界に流し得るかを会得したであろう。身を切る如《ごと》
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