全然知らない事実がその中に盛られ、後で調査して見ると、これ等《ら》は悉《ことごと》く正確であることが確かめられた……。
『私には、此等《これら》の書きものに対して、何等《なんら》の命令権もなかった。それは通例求めない時に現れ、強いて求めても、必ずしも現象が起らないのである。私は出所不明《しゅっしょふめい》の突然の衝動に駆られて、静座して筆記の準備をやる。それが連続的に現れる場合には、私は通例《つうれい》早起して、毎日の最初の時間をそれに宛てる。室《へや》はいつも祈祷に用いる専用のものである。すると多くの場合に通信が現れるが、しかし必ずしも当てにはならない。他の形式の現象が起ることもある。健康状態が面白くないと、無現象のこともあるが、そんなことはめったに起らない。
『イムペレエタアと[#「イムペレエタアと」は底本では「インベレクタアと」]称する霊からの通信の開始は、私の生涯に一新紀元を劃《かく》するものである。それは私にとりて、精神的再生を遂げしめた教育期間で、爾来《じらい》、私はいかに懐疑的空想に耽《ふけ》ることがあっても、心からの疑惑に陥るようなことがなくなった……。
『此等《これら
前へ 次へ
全104ページ中12ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
浅野 和三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング