ジティフ》な傾向に轉換して行つたか、そしてそれがあらゆるクラシックに共通するところの人間的要素をどんな風に彼の作品に與へてゐるか、と云ふことにまで説き及ぼしてゐる。――そこまで抄すべきであらうが、僕はもうだいぶ疲れてゐる。ここいらで不本意ながらペンを置く。が、もつと不本意なことはこれでもつて當分プルウストに關する手紙を打ち切らなくてはならなくなつたことだ。何故なら、僕は九月號に小説を一つ引き受けてしまつたからだ。しかし小説を書き上げてしまつたら、輕井澤にでも行つて、ゆつくりプルウストでも讀んでやらうと思ふ。さうしたら、その時またこの手紙を續けよう。
底本:「堀辰雄作品集第五卷」筑摩書房
1982(昭和57)年9月30日初版第1刷発行
初出:一「新潮」
1932(昭和7)年8月号
二「椎の木」
1932(昭和7)年8月号
三「作品」
1932(昭和7)年8月号
初収雑誌:「文学」厚生閣書店
1932(昭和7)年9月18日
※「一」の初出時の表題は「プルウスト雑記(神西清への手紙)」、「二」の初出時の表題は「プルウスト雑記〈神西清への手紙より
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