わしく言うと、例えば、以前に存しなかった或る石は、その石のうちに含まれるものの全体を、あるいは形相的に、あるいは優越的に、自己のうちに有するところの或るものによって生産せられるのでなければ、いま存し始めることができないし、また熱は、熱と少くとも等しい程度の完全性を有するものによってでなければ、以前に熱せられなかった対象のうちに生ぜしめられることができないし、その他の場合もかくのごとくであるが、単にこれらのみではなく、さらにまた、熱の、あるいは石の観念は、熱あるいは石のうちにあると私が考えるのと少くとも同じだけの実在性を自己のうちに含む或る原因によって私のうちに置かれたのでなければ、私のうちにあることができないのである。というのは、たといこの原因は自己の現実的すなわち形相的実在性の何物も私の観念のうちに移し入れないとはいえ、だからといってこの原因はより少く実在的でなくてはならぬと考うべきではなく、むしろ、観念そのものは私の思惟の仕方であるからして、その本性は、私の思惟から借りてこられる実在性のほか、何ら他の形相的実在性を自分からは要求しない性質のものであると考うべきであるからである。しか
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