にして、永遠なる、無限なる、全智なる、全能なる、そして自己のほかなる一切のものの創造者たる、神を理解するところの観念は、有限なる実体を私に示すところの観念よりも、確かにいっそう多くの客観的実在性を己れのうちに有しているからである。
ところでいま、動力的かつ全体的な原因のうちには少くともこの原因の結果のうちにあると同じだけの実在性が存しなくてはならぬということは、自然的な光によって明瞭である。なぜなら、結果は、原因からでなければ、いったいどこから、自己の実在性を得ることができるのであろうか。また、いかにして原因は、自分でも実在性を有するのでなければこの実在性を結果に与えることができるのであろうか。そしてここから、いかなるものも無から生じ得ないということ、なおまた、より多く完全なものは、言い換えると自己のうちにより多くの実在性を含むものは、より少く完全なものから生じ得ないということ、が帰結する。しかもこれは、単に、その実在性が現実的すなわち形相的であるところの結果について明白に真であるのみでなく、また、そのうちにおいてはただ客観的実在性が考察せられるところの観念についてもまた真である。くわしく言うと、例えば、以前に存しなかった或る石は、その石のうちに含まれるものの全体を、あるいは形相的に、あるいは優越的に、自己のうちに有するところの或るものによって生産せられるのでなければ、いま存し始めることができないし、また熱は、熱と少くとも等しい程度の完全性を有するものによってでなければ、以前に熱せられなかった対象のうちに生ぜしめられることができないし、その他の場合もかくのごとくであるが、単にこれらのみではなく、さらにまた、熱の、あるいは石の観念は、熱あるいは石のうちにあると私が考えるのと少くとも同じだけの実在性を自己のうちに含む或る原因によって私のうちに置かれたのでなければ、私のうちにあることができないのである。というのは、たといこの原因は自己の現実的すなわち形相的実在性の何物も私の観念のうちに移し入れないとはいえ、だからといってこの原因はより少く実在的でなくてはならぬと考うべきではなく、むしろ、観念そのものは私の思惟の仕方であるからして、その本性は、私の思惟から借りてこられる実在性のほか、何ら他の形相的実在性を自分からは要求しない性質のものであると考うべきであるからである。しかるに或る観念が、他の客観的実在性ではなくて或る特定の客観的実在性を含むということは、たしかに、この観念が客観的実在性について含むのと少くとも同じだけの形相的実在性を自己のうちに有するところの或る原因によって、これを得てくるのでなくてはならぬ。なぜなら、もし我々がその原因のうちに存しなかった或るものが観念のうちに見出されると看做すならば、この観念は従ってこれを無から得てくることになり、しかるに、ものがそれによって観念を介して悟性のうちに客観的に有るところのこの存在の仕方は、たとい不完全であるとしても、たしかにまったく無ではなく、また従ってこの観念が無から出てくるということはあり得ないからである。
なおまた、私が私の有する観念のうちにおいて考察するところの実在性は単に客観的なものであるからして、この実在性がこの観念の原因のうちに形相的に有ることは必要でなく、かえってこの原因のうちにおいても客観的に有れば十分であろう、と忖度《そんたく》してはならない。というのは、この客観的な存在の仕方が観念に、観念そのものの本性上、合致すると同じように、形相的な存在の仕方が観念の原因に、――少くともその第一にして主要なる原因には――この原因の本性上、合致するからである。そしてたといおそらく一の観念は他の観念から生まれることができるにしても、これはしかしこのようにして無限に溯ることができないのであって、遂にはいわば或る第一の観念に達しなくてはならず、しかしてこの観念の原因は、観念のうちにおいてはただ客観的に有る一切の実在性を形相的に自己のうちに含むところの、原型ともいうべきものなのである。かようにして観念は私のうちにおいてあたかも或る影像のごときものであって、これは、たしかに、これを得てきたもとのものの完全性に及ばぬことは容易にあり得るが、或るより大きなものまたはより完全なものを含み得ないことは、自然的な光によって私に明瞭である。
そしてこのすべてのことは、これを考量することが長ければ長いだけ、注意深ければ注意深いだけ、いよいよ明晰に、いよいよ判明に、その真であることを私は認識するのである。しかし私は何を結局これから結論しようとするのであるか。言うまでもなく、もし私の有する観念のうちの或るものの客観的実在性にして、それが形相的にも優越的にも私のうちに存せず、また従って私自身がこの観念の
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