根拠からは霊魂が肉体と同時に滅びると説得せられるのほかなく、ひとり信仰によってのみその反対が理解せられるとすら敢えて申しておりますとはいえ、しかしレオ十世の下に開かれましたラテラン公会議は、第八会同におきまして、彼等を非とし、そしてキリスト教哲学者たちにかの人々の論拠を破り、全力を挙げて真理を証明するように命ずるのでありますから、私もまたこれを企てることを恐れなかった次第であります。
 さらに私は、多数の不信者が神の存したまうこと、人間の精神が身体から区別せられることを信じようと欲しない原因はまさに、この二つのことがらは従来何人によっても論証せられ得なかったと我らが申しますところに存することを知っておりますゆえに、もちろん私は決して彼等に同意するものではなく、反対にこれらの問題に対して偉大なる人々によって持ち出されましたほとんどすべての根拠は、十分に理解せられます場合には、論証の力を有すると考えておりますし、従って私は前に他の何人かによって発見せられなかったような根拠はほとんど何も与え得ないと信じておりますとはいえ、しかもひとたびそれらすべての根拠のうち最もすぐれたものを克明に考究し、そして厳密に明瞭に解明し、かくてすべての人々の前に今後これが論証であることを確かにいたしますならば、哲学においてこれにまさる有益なことは為し得ないと思慮いたすのであります。そして最後に、私がもろもろの学問におけるあらゆる難問を解決するための或る方法を完成いたしましたことを知っております或る者は―――もちろんこの方法は新しいものではありませぬ。と申しますのは、真理よりも古いものはないのでありますから。けれども彼等は私がそれをしばしば他のことがらにおいて使用して実のり多かったことを見ているのであります。―――この仕事が私によって為されることを切に請い求めましたゆえにかようにして私はこれについて若干試みることが私の義務であると考えた次第であります。
 さて私が為し遂げ得ましたほどのことはことごとくこの論文の中に含まれております。もっとも、かのことがらを証明すべきものとして持ち出され得るであろう様々の根拠のすべてをこの中に集録することに努力いたしたわけではありませぬ。と申しますのは、かかることは、何ら十分に確実な根拠を有しない場合にしか、労力に値しないと思われるからであります。かえって私はただ第一の、何よりも重要な諸根拠をば、今これらを極めて確実な、極めて明証的な諸論証として提出することを敢えて致し得るような仕方で、追求したのであります。なおまた私は、これらは、惟《おも》うに、人間の智能にとりましてはさらにすぐれた根拠を発見し得るいかなる道も開かれていないような性質のものであるということを、附け加えるでありましょう。すなわち、ことがらの緊要性と、これがことごとく関係するところの神の栄光とは、この場合私の習慣の常とするよりもいくらか無遠慮に私の仕事について語るように私を強要する次第であります。もっとも私は、私の根拠を確実で明証的なものと考えますにしても、それだからと申してすべての人の理解力に適合しているものとは信じませぬ。まことに幾何学におきましては、アルキメデス、アポロニオス、パッポス、あるいは他の人々によって多くのことが書かれておりますが、これはもちろん、それ自身として見られるならば認識するに極めて容易でないような何物も、またそれにおいて後続するものが先行するものと厳密に関聯しないような何物もまったく含まないゆえに、すべての人によって極めて明証的でまた確実なものと看做《みな》されておりますとはいうものの、しかしそれはどちらかといえば長く、そして非常に注意深い読者を要求いたしますから、まったく少数の者によってのほか理解せられないのであります。あたかもそのように、私がここに使用いたしますものは、確実性と明証性とにおきまして幾何学に関することがらと同等あるいはこれを凌駕しさえすると私は認めておりますとはいえ、しかし多くの人々によって十分に洞見せられ得ないであろうと恐れる次第であります。すなわち、一つにはこれらもどちらかといえば長く、そして一は他に依繋いたしているからであり、また一つには主として、先入観からまったく解放せられた、自己自身を感覚の連累から容易に引き離すところの精神を要求するからであります。そして確かに世の中には形而上学の研究に適する者は幾何学の研究に適する者よりも多く見出されないのであります。さらにまた次の点に差異が存しております。すなわち、幾何学におきましては、すべての人が、確実な論証を有しないいかなることがらも書かれない慣わしであると信じておりますゆえに、精通しない者は、真なる事柄を反駁することにおいてよりも、偽なることがらを、これを理解する
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