聲の大騷ぎをする。ノラ終にテーブルの下に隱れる。子供達が駈け込んで來て探すけれど見つからぬ。そのうちノラのくす/\笑ふ聲を聞きつけ、テーブルの方へ駈けて來て覆ひの布をもち上げ母を見出す。一しきり大騷ぎ。ノラは子供をこはがらすやうな風で這つて出る。また一しきり大騷ぎ。その間、廊下への扉を叩く聞えてゐたが、誰も氣がつかぬ樣子。やがて扉が半ば開いて、クログスタットが出て來る。しばらく待つてゐると遊び事がまた始まる。)
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クログスタット 奧さん、ご免なさい。
ノラ (押しつけたやうな叫聲で振り向き、半ばとび上る)お! 何かご用ですか?
クログスタット 失禮致しました。外の戸が開いてゐましてね、誰か閉めるのを忘れたのでせう――
ノラ (立ち上りながら)宅は今留守ですよ。
クログスタット 承知してをります。
ノラ ぢやどういふご用でいらつしやつたのです?
クログスタット あなたに少しお話し申すことがありましてね。
ノラ 私に? (子供の方を向いて柔かに)アンナの方へ行つてお出で。ママちよつとご用があるから。あの人が歸つたらまた遊
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