は、あなた、そんなことの出來る時には、本當の奇蹟が現はれなくちやなりますまい。
ヘルマー 本當の奇蹟とは?
ノラ 私達が二人ともすつかり變つて――あゝもう、私、奇蹟なんか信じない。
ヘルマー けれども私は信ずるよ。私達がすつかり變つて――
ノラ 二人の仲が本當の結婚にならなくてはなりません。左樣なら。
[#ここから3字下げ]
(ノラ出て行く)
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
ヘルマー (顏を兩手に埋めて扉の傍の椅子に沈む)ノラ! ノラ! (見廻はして立上る)誰もゐない。行つてしまつた(一の希望が吹き込まれてくる)あゝ! 奇蹟、奇蹟――※[#感嘆符疑問符、1−8−78] (下から重い戸を閉ぢる響が聞える)
[#ここで字下げ終わり]
[#地から1字上げ]幕



底本:「人形の家」角川文庫、角川書店
   1952(昭和27)年8月15日初版発行
   1961(昭和36)年4月30日17版発行
入力:土屋隆
校正:松永正敏
2008年6月2日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aoz
前へ 次へ
全147ページ中146ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
イプセン ヘンリック の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング