く》にも味《あぢはひ》あり
早《はや》くより養《やしな》ふものゝあればこそ
此《この》味《あぢは》ひを君《きみ》は知《し》るらめ
七 雨《あめ》漏《も》りても眠《ねむり》を妨《さまた》げず
軒端《のきば》もる雨夜《あまよ》の夢《ゆめ》もともすれば
浮世《うきよ》に通《かよ》ふ事《こと》もあるらむ
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第三
北海道《ほくかいだう》に移住後《いぢゆうご》、冬時《とうじ》余《よ》の服裝《ふくさう》は、内地《ないち》に在《あ》りし時《とき》と殆《ほと》んど異《こと》ならず。而《しか》して當地《たうち》の寒氣《かんき》を左程《さほど》に感《かん》ぜざるのみならず、凍傷《とうしやう》等《とう》に一度《いちど》も犯《をか》されたる事《こと》あらず。思《おも》ふに此《かく》の如《ごと》きは、數十年來《すうじふねんらい》行《おこな》へる灌水《くわんすゐ》の功徳《くどく》なる可《べ》し。
第四
余《よ》は現時《げんじ》人《ひと》より羨《うらや》まるゝ程《ほど》の健康《けんかう》を保《たも》ち居《を》れども、壯年《さうねん》の頃《ころ》までは體質《たいしつ》至《いた》つて弱《よわ》く、頭痛《づつう》に惱《なや》まされ、胃《ゐ》を病《や》み、屡《しば/\》風邪《ふうじや》に犯《をか》され、絶《た》えず病《やまひ》の爲《ため》に苦《くるし》めり。且《かつ》性來《せいらい》記憶力《きおくりよく》に乏《とぼ》しき余《よ》は、此等《これら》の病症《びやうしやう》の爲《ため》に益《ます/\》其《その》※[#「冫+咸」、63−2]退《げんたい》するを感《かん》じ、治療法《ちれうはふ》に苦心《くしん》せる時《とき》、偶《たま/\》冷水浴《れいすゐよく》を爲《な》して神《かみ》に祷願《たうぐわん》せば必《かなら》ず功驗《こうけん》ある可《べ》しと告《つ》ぐる人《ひと》あり。其《その》言《げん》に從《したが》ひ、此《これ》を行《おこな》ひしも、冷水浴《れいすゐよく》を永續《えいぞく》する能《あた》はずして中止《ちゆうし》するに至《いた》れり。後《のち》或《ある》書《しよ》に感冐《かんばう》を豫防《よばう》するに冷水浴《れいすゐよく》の非常《ひじやう》に利益《りえき》ある由《よし》を見《み》、再《ふたゝ》び冷水浴《れいすゐよく》を行《
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