妖怪研究
井上円了
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)候《そうろう》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
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妖怪研究は余が数年来従事せるところなるが、近ごろ応用心理学を講述するに当たり、あわせて妖怪の解釈を下し、ときどき実験をも施しけるに、事実の参考を要するものあれば、館外員諸君よりも事実の御報道にあずかりたく、左に妖怪の性質と種類とを掲記いたし候《そうろう》。
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洋の東西を論ぜず、世の古今を問わず、宇宙物心の諸象中、普通の道理をもって解釈すべからざるものあり。これを妖怪といい、あるいは不思議と称す。その妖怪、不思議とするものにまた、あまたの種類ありし。現今、俗間に存するもの幾種あるを知らずといえども、しばらくこれを大別して二大種となす。すなわち、その第一種は内界より生ずるもの、第二種は外界に現ずるもの、これなり。しかしてまた、内界より生ずるものに二種ありて、他人の媒介を経てことさらに行うものと、自己の身心の上に自然に発するものの別あり。ゆえに、余は妖怪の種類を分かちて、左の
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