のイデア――のくすしく妙へなる姿である。この純粹形相の直觀において主體は客體と完全なる合一を遂げかくて不死性(永遠性)を成就する。
 ソクラテスとの比較は甚だ興味深き聯關と對照とを示すであらう。かれにおいてはエロースは指導者と被指導者との間に成立つ生の共同であり、その共同は實踐的人倫的活動の諸能力を養ふに必要なる識見の獲得を目的とする。その場合それらの諸能力の定義即ち概念規定に關して論議は交はされるも、それはかの主要目的達成の一手段に過ぎぬ故、概念的認識が獨立性や優越性を主張するやうなことは全く見られない。アリストテレスは、認識の原理に關して歸納法と普遍的概念規定とを發見乃至主張したことを、ソクラテスの功績として擧げた(五)。すなはち彼の解釋によれば、ソクラテスは物の本質が概念的普遍者に存するといふ眞理を發見し、ひたすら概念的規定即ち定義の獲得へと努力したといふのである(六)。しかしながらこれは、アリストテレスが自己の哲學的立場より、即ちソクラテスをもわが先驅者となさうとする意圖より、下した主觀的解釋に過ぎず、ソクラテスにおいてはむしろ一切が實踐的なるものを目指したことは、かれの著しき
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