淨なるもの、單純なる姿のもの、いつも自己と同一なるもの、永遠的・不死的・神的なるもの、しかして他はすべて反對の性格を擔ふものである。靈魂は第二の即ち地上の存在者に屬する。しかしながら、永遠的存在者と同じ族に屬するものとして、それは天上高く、死せぬもの變らぬもののもとに昇り、いつまでもそこに留まり、それと交はることによつてこの世の流浪を免れつつ、自らもいつも同一なる存在を保つ。云々。吾々はここに純眞なる觀念主義者の典型的體驗の告白を聽いて、深き感激に打たれる思ひする。しかるにプラトンが靈魂の不死性と考へたものは、かくの如くいかなる刹那にも、勿論生の眞中において、達せられ得る魂ひの向上永遠者との合一ではなく、却つて死後實現せらるべき無終極的存在であつた。上に述べた思想はかれがこの意味における不死性を證明すべき一論據として展開したものに過ぎないのである。しからば永遠的生が地上において獲得されぬ理由はいづこに存するか。靈魂が身體と共同生活を營み、從つて純粹の觀想に生き難いによるのである。すなはち、純粹の觀想乃至永遠者との完全なる合一が、既定の事實としてはじめより現實的であらぬ限り、練習(〔me
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