であらう。
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(一) 一〇節、一四節以下參看。
(二) 一〇節、二六節參看。
(三) 「宗教哲學」一五節以下參看。
(四) 二六節參看。
(五) 拙著「スピノザ研究」參看。――ヘーゲルの辯證法はこの問題に答へようとするものであるが、かれの説いたすべての聯關すべての發展は觀念世界の事件に過ぎぬ。「すべて合理的なるものは現實的であり、すべて現實的なるものは合理的である」といふかれの言において「現實的」或は「實在的」はプラトンの 〔onto_s on〕 に外ならぬ。
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        三〇

 尤も超時間的實在者――神――を觀ることによつて、觀想乃至直觀によるそれとの結合共同合一などによつて、人間的主體自らが超時間的永遠的神的と成るといふ思想は、古今の宗教及び哲學を通じて甚だ廣く行はれてゐる。純粹なる嚴密の意味における神祕主義はこの傾向の徹底したるものに外ならぬが、そこまで、即ち神と人との完全なる合一といふ點まで進まず、神祕主義的傾向乃至性格を有する程度に止まる諸思想においても、永遠性の問題に注意が向けられるとともに、單に客體ばかりでなく人間的
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