困るじゃアねえか、大概《ていげえ》にしてくんなせえ、此家《こゝ》な連藏《れんぞう》さんは居ねえが、内儀《かみさん》は料理して居る、奉公人は少ねえに皿小鉢を打投《ぶっぽう》って毀《こわ》れます、三百や四百で買える物じゃアねえ、大概《てえげえ》にするが宜《よ》い」
岡山「手前《てめえ》何んだ」
市「己《おら》ア此処へ用が有って来合せていたのだ」
岡山「手前《てめえ》仲へ這入るなら僕らの顔を立てるのが仲裁の当前《あたりまえ》だ」
市「お前方の顔を立てゝ上げてえが立てようががんしなえ、相手が悪いならば、あんた方の顔も立てゝ上げやしょうが、弱《よえ》え者いじめをするにも程がある、此様《こん》なかたはナニ子供のような重さんの頭をぶちなぐる事はハアねえだ」
岡山「そんな不具者《かたわもん》の顔を立てんでも宜《よ》い、拙者どもは芸妓《げいしゃ》小峯を呼びに遣わしたる処、病気と欺き参らんのみか、向うへ来て居るのは甚だ奇怪《きっかい》に心得るから申すのだ」
市「それが奇怪だって、そりゃ無理だ、芸妓だっても厭な処《とこ》へは来《き》なえ、貴方《あんた》の方は厭だから来なえのだろう」
岡山「コレ甚だ失敬な事申
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