は悪い車夫《くるまや》が居ります。
車「容《ざま》ア見やアがれ」
峯「なに」
岩「お前おからかいでないよ」
峯「面ア覚えて置け」
岩「まア/\お止しよ」
峯「詰らねえ事を云やアがって、脚元を見やアがって、此処まで来て挽けねえなんて、酒え飲まして置いて手当も遣って居るので、中の条だけの賃は遣りましたが、それから先の賃は遣りません、彼奴《あいつ》も無駄挽《むだっぴき》をしやアがって……どうも済みません」
岩「私だけは歩くから好《よ》いよ……お前さまはさぞお厭でございましたろう」
藤「私は恟《びっく》りして、怖いから何うしたら宜かろうかと思ったが、岩や、お前歩けるかえ」
岩「えゝ私はもう宜しゅうございます、二里や三里は歩けますからお前様さえお乗せ申せば宜しゅうございます」
藤「山道だよ」
岩「いゝえ宜しゅうございます、歩けますから」
藤「お前疲れると」
岩「いえ大丈夫で」
峯「まア一服遣りましょうから、もう是からは遠くもねえ道でござえますから」
藤「峯松さん、さぞお疲れで私のような者二人を連れて来てお厭でしょう」
峯「私《わっち》は心配な事はありませんが、まア早くお連れ申して旦那にお会わせ申
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