の丈は二尺五寸しかないが、首は大人程ありまして、小さいたって彼《あ》の位小さい人はありますまい。形《なり》に応じて手足の節々も短かい。まるで子供のようであります。反物を一反買いますと、自分の着物に、半纒《はんてん》に、女房の前掛に、子供のちゃん/\が取れるというのでございます、三布蒲団《みのぶとん》を横に着て足の方へあんか[#「あんか」に傍点]を入れて、まだ二寸ばかりたれているというから、余程小さい男であります。割合に肥《ふと》って居て頭が大きいから、駈けると蹌《よろ》けて転覆《ひっくりかえ》る事がありますが、一寸《ちょっと》見ると写し画《え》の口上云い見たいで、なんだか化物屋敷へ出る一ツ目小僧の茶給仕のようでありますが、妙に気が利いて居て、なか/\発明な人であります。
重「へえ、お呼びなすったのは此方《こちら》でげすか」
 というを見ると二人は驚きました。
岡山「なんだ化物か、アヽ何んだ」
重「お呼びなすったから参《めえ》りました」
岡山「何んだ、エ何んだ」
重「エヘ、お手が鳴りましたから参《めえ》りました」
岡山「お手が鳴ったって、何んだ、ウン……亭主は居らんか、総体当家ではなんだ僕たちを愚弄して居《お》るな、なんだ胆《きも》を潰す薄暗い処へピョコと出て驚く、真人間をよこせ、五体|不具《かたわ》なる者を挨拶に出すべきものでない、退《さが》って普通《なみ》の人間を出せ、なんだ」
重「へえ五体|不具《ふぐ》、かたわ[#「かたわ」に傍点]と仰しゃるは甚だ失敬で、何処が不具《かたわ》で、足も二本手も二本眼も二つあります」
岡山「それで一つ眼なら全《まる》で化物だ、こんな山の中で猟人《かりゅうど》が居るから追掛けるぞ、そんな姿《なり》でピョコ/\やって来るな、亭主を呼べ」
重「亭主は前橋へ往って居りませんから私《わたくし》が代りに出たので」
岡山「じゃア家内が居るだろう、家内を呼べ……これ先刻《さっき》小峯に口をかけた処が、小峯は病気で出られぬと其の方が申した、其の小峯がどう云う理由《わけ》で向うの座敷へ参って居《お》るか、さアそれを聞こう」
重「えい、病気で居たのでございますが、旧来《ながらく》のお馴染で、お客様へ一寸《ちょっと》御挨拶と云うので参《めえ》ったので」
岡山「なに馴染だと、これ僕等は馴染でないから大病であるか、立聞はせんが誠に静かであれば、馴染の客であれば
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