つけてるから人を縛る事が上手で、すっかり縛って出られないようにして、中の間《ま》の柱に繋《くゝ》って置いて、然《そ》うして奥の間へ這入《はえ》ると、旦那が奥の間で按摩取《あんまとり》を呼んで、横になって揉ませて居る其処《そけ》えずっと這入《はい》って来て、さア金え出せ、汝《われ》が家《うち》は大《でか》い構えの菓子屋で、金の有る事は知ってる、さア出せ、ぐず/\しやアがると拠《よんどこ》ろなく斬ってしまうぞ、さア金を出せと云うから、旦那は魂消たの魂消ないの、まるで旦那は口い利かれない、只今上げます/\命はお助け、命だけは堪忍して呉れと云うと、命までは取らぬ、金さえ出せば帰るから金え出せと云うので、其処《そけ》え蹲《つく》なんでしまっただ、するとお前《めえ》旦那を揉んでいた按摩取がどえらい者で、其処《そこ》に有った火鉢を取って泥坊の顔へぶっ投《ぽ》った」
婆「はえい怖《おっか》ないなアまア、うん、ぶっ投《ぽ》って火事い出来《でか》したかえ」
百「なに火事でなえ、灰が眼に這入《はえ》って、是アおいないと騒ぐ所へ按摩取が一人で二人の泥坊を押えて、到頭町の奉行所へ突出《つきだ》したと云うのだが、
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