せんでまア宜うございますが、是からもう月末《つきずえ》になって、度々《たび/\》雪が降りますると道も止りますが、まア/\今年は雪が少ないので仕合せでござります、さぞ日々御退屈でございましょう」
永「いゝやもう種々《いろ/\》お世話に成りまして、それに此の尼様が坂道で足を痛めて歩けぬと云うこと、殊に寒さは寒しするから、気の毒ながら来年の三月迄は御厄介じゃア」
又「へい有難いことでございます、毎日婆アともはア然《そ》う申して居ります、あなた方がお泊りでございますから、斯《こ》うやって米のお飯《めし》のお余りや上酒《じょうしゅ》が戴いて居《お》られる、こんな有難い事はございませんと云って、婆アも悦んで居ります、何《ど》うかなんなら二三年もおいでなすって下されば猶宜いと存じます、なんで此の山家《やまが》では何もございませんが、鹿を一匹撃って参りまして調《こし》らえましたが、何うか鹿で一杯召上って、あの何ですかお比丘尼様は鹿は召上りませんか」
永「いや、何《なん》じゃ、それは何とも、まア一体は食われぬのじゃけれどもなア、旅をする中《うち》は仕方がない、却《かえ》って寒気を凌《しの》ぐ為に勧めて食
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