もちや》だと仰《おつ》しやいましたが、成程《なるほど》さま/″\の物《もの》が有《あ》りますよ、此方《こつち》も玩具《おもちや》……彼方《あつち》も玩具《おもちや》、其《そ》の隣《となり》も玩具《おもちや》、あゝ玩具《おもちや》を引張《ひつぱ》つて伸《のば》して居《を》ります。近「フヽヽあれは飴《あめ》やだよ。梅「へえゝ成程《なるほど》、此方《こつち》は。近「人形屋《にんぎやうや》。梅「向《むか》うのは。近「料理茶屋萬梅《れうりぢややまんばい》といふのだ。梅「あら/\。近「見《みつ》ともねえなア、大きな声《こゑ》であらあらと云《い》ひなさんな。梅「あれは。近「絵草紙《ゑざうし》だよ。梅「へえゝ綺麗《きれい》なもんですな、撫《なで》て見ちやア解《わか》りませんが、此間《このあひだ》池田《いけだ》さんのお嬢《ぢやう》さまが、是《これ》は絵《ゑ》だと仰《おつ》しやいましたが解《わか》りませんでした。梅「おゝ突当《つきあた》りやがつて、気《き》を附《つ》けろい、盲人《めくら》に突当《つきあた》る奴《やつ》が有《あ》るかい。近「眼《め》が明《あ》いて居《ゐ》るぢやアないか。梅「ヘヽヽ今日《けふ》明《あ》きましたんで、不断《ふだん》云《い》ひ慣《つ》けて居《ゐ》るもんですから。と云《い》ひながら両手《りやうて》を合《あは》せ、梅「南無大慈大悲《なむだいじだいひ》の観世音菩薩《くわんぜおんぼさつ》……いやア巨《おほ》きなもんですな、人が盲目《めくら》だと思つて欺《だま》すんです、浅草《あさくさ》の観音《くわんおん》さまは一|寸《すん》八|分《ぶ》だつて、虚言《うそ》ばツかり、巨《おほ》きなもんですな。近「そりやア仁王門《にわうもん》だ、是《これ》から観音《くわんおん》さまのお堂《だう》だ。梅「道理《だうり》で巨《おほ》きいと思ひました……あゝ……危《あぶな》い。と驚《おどろ》いて飛下《とびさが》る。近「フヽヽ何《なん》だい、見《みつ》ともない、鳩《はと》がゐるんだ。梅「へえゝ豆をやるのは是《これ》ですか……鳩《はと》がお辞儀《じぎ》をして居《ゐ》ますよ。近「なに豆を喰《く》つてゐるんだ。梅「異《ちが》つたのが居《を》りますね、頭《あたま》の赤《あか》い。近「あれは鶏鳥《にはとり》だ……ま此方《こつち》へお出《い》で、こゝがお堂《だう》だ。梅「へえゝ成程《なるほど》、十八|間《けん
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