ど》を開《あ》けなければ往《いか》ない。小「へえー。先「エーお頼《たの》み申《まう》します/\。小僧《こぞう》は、ツト椅子《いす》を離《はな》れて小「ドーレ。先「中々《なか/\》旨《うま》いな、旨《うま》くやるねえ。小「何方《どちら》からお出《い》でだ。先「中々《なか/\》うまいね……エー私《わたくし》は書林《ほんや》から使《つかひ》に参《まゐ》りましたが、先生にこれは誠に少々《せう/\》でございますが差上《さしあ》げて呉《く》れろと、主人に斯様《かう》申《まう》されまして、使《つかひ》に罷《まか》り出《い》でました。小「アー大《おほ》きに御苦労《ごくらう》、折角《せつかく》の思召《おぼしめ》しだから受納《じゆなふ》いたしまする。先「中々《なかなか》旨《うま》いねえ……是《これ》で帰《かへ》りましても宜《よろ》しうございますか。小「マア/\一寸《ちよつと》待《ま》つてお出《い》で、ポケツトヘ手を入れて空《から》ツポウではありますけれども、紙を畳《たゝ》んで、小「これはお使賃《つかひちん》だよ、是《これ》からお忘れでないよ。これで先生も使賃《つかひちん》をやる事を覚《おぼ》え、又《また》小僧《こぞう》さんも行儀《ぎやうぎ》が直《なほ》つたといふお話で、誠に西洋《あちら》の小僧《こぞう》さんは狡猾《かうくわつ》で怜悧《りこう》の処《ところ》がありますが、日本《こちら》の小僧《こぞう》さんは極《ごく》穏当《をんたう》なもので。
底本:「明治の文学 第3巻 三遊亭円朝」筑摩書房
2001(平成13)年8月25日初版第1刷発行
底本の親本:「定本 円朝全集 巻の13」世界文庫
1964(昭和39)年6月発行
入力:門田裕志
校正:noriko saito
2009年6月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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