九十六
花「おい多助さん」
多「え」
花「憫然《かわいそう》に、坊様だが泥坊に縛られて災難に逢《あわ》しゃッたと見え素裸体だ」
多「なにしても足がふるえて困る」
花「そう顫えてはいけねえ」
と云いながら彼《か》の僧に近づき、
花「お前さん/\泥坊のために素裸体にされたのですか」
僧「はい、災難に逢いました、木颪《きおろし》まで参りまする途中でもって馬方が此道《こゝ》が近いからと云うて此処《こゝ》を抜けて参りますと、悪漢《わるもの》が出ましたものじゃから、馬方は馬を放り出した儘逃げて了《しま》うと、私は大勢に取巻かれて衣服《きもの》を剥《は》がれ、直《す》ぐ逃がして遣ると此方《こっち》の勝手が悪い、己《おい》ら達が逃げる間此処に辛抱していろと申して、私は此の木の根方へ縛り附けられ、何《ど》うも斯《こ》うも寒くって成りません、お前さんたちも先へ往くと大勢で剥がれるから、後《あと》へお返りなさい」
花「なにしろ縄を解いて上げましょう、貴僧《あなた》は何処《どこ》の人だえ」
僧「有難うございます、私は藤心村の観音寺の道恩というものです」
と聞くより惣吉は打
前へ
次へ
全520ページ中512ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング