ての頼みに、源氏山も得心して芽出度《めでたく》出立いたし、日を経て彼《か》の五助街道へ掛りましたのが十月|中旬《なかば》過ぎた頃もう日暮れ近く空合《そらあい》はドンヨリと曇っておりまする。三人はトットと急いで藤ヶ谷の明神山を段々なだれに登って参りますると、樹木[#「樹木」は底本では「樹本」]生茂《おいしげ》り、昼でさえ薄暗い処|殊《こと》には曇っておりまするから漸々《よう/\》足元が見えるくらい、落葉《おちば》の堆《うずも》れている上をザク/\踏みながら花車が先へ立って向《むこう》を見ると、破《や》れ果てたる社殿が有ってズーッと石の玉垣が見え、五六本の高い樹《き》の有る処でポッポと焚火《たきび》をしている様子ゆえ、彼処《あすこ》らが隠れ家ではないかと思いながら傍《わき》の方を見ると、白いものが動いておりまするが、なんだか遠くで確《しか》と解りません。
 花「多助さん確《しっ》かりしなせえ」
 多「もう参《めえ》ったかねえ、私《わし》はね剣術も何《なん》にも知んねえが此の坊様に怪我アさせ度《た》くねえと思うから一生懸命に遣るが、あんたア確かり遣って下せえ」
 花「私《わし》イ神明様《しん
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